Article

3Dゲノミクス:エンハンサー–プロモーター相互作用および転写はCTCFやコヒーシン、WAPL、YY1が急激に失われてもおおむね維持されている

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01223-8

CTCF(CCCTC結合因子)やコヒーシンの急激な枯渇は、ドメインや構造ループのレベルで三次元(3D)のゲノム折りたたみを大きく乱すにもかかわらず、ほとんどの遺伝子の発現にはわずかな影響しか与えず、その理由はよく分かっていない。今回我々は、マウス胚性幹細胞において高解像度のMicro-Cと新生転写産物のプロファイリングを利用して、この難題に取り組んだ。その結果、CTCF、コヒーシン、WAPLが急激に(3時間)枯渇しても、エンハンサーとプロモーター間(E–P)の相互作用はほとんど影響を受けないことが分かった。YY1はE–Pループの構造調節因子であると提案されているが、YY1の急激な枯渇は、E–Pループや転写、3Dのゲノム折りたたみに最小限の影響しか与えなかった。驚くことに、生細胞の一分子イメージングでは、コヒーシンの枯渇は転写因子のクロマチンへの結合を減少させることが明らかになった。このように我々の結果は、CTCF、コヒーシン、WAPLおよびYY1は、ほとんどのE–P相互作用や遺伝子発現の短期的な維持に必要ないが、一方でコヒーシンは、転写因子による標的の探索とより効率的な結合を促進するということを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度