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アルツハイマー病:エキソーム塩基配列決定によって、ATP8B4およびABCA1の機能を障害するまれなバリアントがアルツハイマー病のリスク因子であることが明らかになる

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01208-7

アルツハイマー病(AD)は、認知症の主な原因で、遺伝率は約70%と推定されている。ADの遺伝的な構成要因は、主にゲノムワイド関連解析を用いて評価されてきているが、その解析では、まれなバリアントによってもたらされるリスクはとらえられない。本論文では、3万2558人(AD症例1万6036人と対照例1万6522人)のエキソーム塩基配列決定データにおいて、機能を障害するまれなバリアントの遺伝子に基づく影響を比較した。ADリスクとの関連では、TREM2SORL1ABCA7のバリアントとの関連に続いて、ATP8B4およびABCA1の機能を障害すると予測されるまれなバリアントとの有意な関連と、ADAM10における関連を示唆するシグナルが観察された。さらに、RIN3CLUZCWPW1ACEのまれなバリアントの影響を解析した結果、これらの遺伝子がゲノムワイド関連解析によるそれぞれのAD座位のドライバーである可能性が明らかになった。ADリスクに及ぼす最も強い効果と関連するバリアント、特に機能喪失バリアントは、早期発症型AD症例で豊富に見られた。我々の結果は、ADにおいて、アミロイドβ前駆体タンパク質のプロセシング、アミロイドβの凝集、脂質代謝、ミクログリア機能が主要な役割を担うことについてのさらなる証拠を示している。

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