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複雑疾患:ありふれたバリアントの効果量の分布

Nature Genetics 53, 8 doi: 10.1038/s41588-021-00901-3

疾患の遺伝的な効果量の分布は、リスクバリアントの数、それらの効果量の範囲、それらを検出するために必要な標本サイズを表しているが、その正確な推定はこれまで困難であった。ここではフーリエ混合回帰(Fourier Mixture Regression;FMR)法を提案し、同法により効果量の分布を正確に推定できることを、実際のデータとシミュレーションデータを用いて検証する。10種類の疾患(平均Neff = 169,000)の要約統計量にFMR法を適用したところ、ゲノム規模で有意なSNPがSNP遺伝率の50%を説明するためには、10万~100万の症例数が必要であると推定された。そのような大規模な研究では、ゲノム規模での有意性は保守的となり、交絡が制御されていれば、それほど厳格でない閾値でも高い真陽性率が得られる。形質によって多遺伝子性の程度は大きく異なるが、それらの効果量の範囲は似通っている。遺伝率が上位10%に属するSNP(これまでに発見されたSNPの大半が含まれる)の効果量と比較すると、遺伝率が下位10~50%に属するSNPの効果量は桁違いに小さく、そのようなSNPはゲノムの広域に広がり、数も膨大である。

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