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エピジェネティクス:さまざまなメチル化を受けたレトロトランスポゾンは環境による広範なかく乱に抵抗性である

Nature Genetics 53, 8 doi: 10.1038/s41588-021-00898-9

Avy(agouti viable yellow)対立遺伝子は、マウスゲノムにメチル化の程度が異なるIAP(intracisternal A particle)レトロトランスポゾンが挿入されること(VM-IAP)で引き起こされた変異である。Avyの表現度は、胎仔期や出生後早期のさまざまな化学物質曝露や栄養介入に感受性であることから、環境によるかく乱がメチロームに長期持続する影響を及ぼし得ることが示唆されている。しかし、VM-IAP配列が環境からの影響で表現型をどの程度変化させるかは分かっていない。本論文では、最近特定されたVM-IAPのレパートリーを用いて、さまざまな環境状況でのエピジェネティックな影響を評価した。長期的な加齢解析から、VM-IAPはマウスの生涯にわたって安定しており、一部の座位でのみDNAメチル化のごくわずかな上昇が検出された。母マウスに、内分泌かく乱物質であるビスフェノールAへの曝露、肥満を誘発する食餌、あるいはメチル供与体の補給を行っても、VM-IAPのメチル化レベルに有意な影響は観察されなかった。葉酸代謝が異常な遺伝的マウスモデルは、VM-IAPメチル化レベルの変化やVM-IAP関連遺伝子の発現変化を示したが、これらの影響は主に多型を示すKRABジンクフィンガータンパク質による標的の差異によってもたらされると考えられた。我々は、レトロトランスポゾンのエピジェネティックな差異から環境感受性は予測されないと結論する。

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