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5′非翻訳領域:脊椎動物の5′非翻訳領域に見られる超保存塩基配列の機能的・構造的基盤

Nature Genetics 53, 5 doi: 10.1038/s41588-021-00830-1

ゲノムに見られる超保存塩基配列についての研究が進んでいないことは、遺伝子制御の進化を理解する上で大きなギャップとなっている。今回我々は、5′非翻訳領域(UTR)に見られる超保存塩基配列が、脊椎動物の発生に必須な性質の出現に関連する非カノニカルな翻訳制御において、予想外の役割を果たしていることを明らかにした。5′UTRの保存配列を内因性に欠失させると、遺伝子の発現が低下した。そして、超保存5′UTRには、細胞タイプ特異的な翻訳制御を促進するシス制御配列が存在することが分かった。我々はさらに、細胞内におけるRNAの構造を網羅的に調べる新しい手法、in-cell mutate-and-map(icM2)法を開発した。icM2法を用いることで、超保存5′UTRが複数の選択的RNA構造を規定していること、また、保存配列内の1つ1つのヌクレオチドが、タンパク質発現の動的レベルを制御するのに重要な、複数の選択的構造間のバランスを維持していることが明らかとなった。これらの結果は、超保存塩基配列が、脊椎動物ゲノムのUTRが規定するRNAレベルの生物学的機能をどのように生み出しているのかを説明している。

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