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逆位:繰り返し起こった逆位の切り替わりと類人猿のゲノム進化

Nature Genetics 52, 8 doi: 10.1038/s41588-020-0646-x

逆位は、疾患や進化に重要な役割を果たしているが、それらの切断点が大きな繰り返し配列に位置するために、解析するのが困難になっている。我々は、ロングリードの一細胞DNA鋳型鎖塩基配列決定法を用いることにより、これまでに報告された類人猿の逆位の数を6倍(n = 1069)に増加させた。サイズと重複の量を基にした場合、X染色体が最も逆位の豊富な染色体であることが分かった(2.5倍)。大きな(100 kbを超える)逆位の切断点近辺には、差次的発現をする霊長類の遺伝子が過度に存在していたが、小さい逆位ではそのような遺伝子はなかった。類人猿の系統特異的な重複が出現する際に、それらの祖先の座位と比較して逆方向の向きに重複が起きやすいこと(およそ75%)が明らかになった。我々は個々の染色体について、メガベース対スケールのハプロタイプを構築し、1500万年以上の間に順方向と逆方向とが繰り返し切り替わった23のゲノム領域を同定した。その順方向の配列には、神経発達疾患に関連する頻発性コピー数バリアントを生じやすいヒト多型が最も多く由来していた。

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