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トウモロコシ:現代のトウモロコシの育種におけるゲノムワイド選抜と遺伝的改良

Nature Genetics 52, 6 doi: 10.1038/s41588-020-0616-3

20世紀前半における単交雑品種トウモロコシの開発以来、トウモロコシの収量は7倍以上に増加した。この収量増加をもたらしたのは、栽植密度の増大に耐えられるようになった点が大きい。トウモロコシにおけるこの劇的な収量増加のゲノム基盤を探求するため、我々は、中国、米国の両国の複数の育種系統作出時期を代表する遺伝資源から、350種のエリート系統の近交系トウモロコシを時系列に沿ってサンプリングし、現代のトウモロコシ育種に関連するゲノム変化および表現型変化の包括的解析を行った。本研究では、両国で見られた表現型の収斂変化のいくつかについて報告する。ゲノムワイド関連解析とゲノム選抜法を用い、適応的な農業形質の形成に関わる座位160か所と、現代の育種における選抜標的に相当するゲノム領域1800か所以上を同定した。本研究は、育種にもたらされたゲノムの特徴を明らかにするにあたっての、育種系統作出時期を用いる手法の有用性を示すとともに、今後、トウモロコシでゲノム育種を行う際の基盤を提供するものである。

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