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がんゲノム:がん治療によりクローン性造血の適応度の全体像が形作られる

Nature Genetics 52, 11 doi: 10.1038/s41588-020-00710-0

正常な組織には、獲得した変異が広く見られる。とはいえ、あるクローンががんへの形質転換を引き起こす過程についての理解は限定的である。本論文では、この過程について、クローン性造血(CH)と治療関連骨髄性腫瘍(tMN)の発生の状況を取り上げて研究した。その結果、変異は曝露に基づいて異なった選択を受けることが分かった。ASXL1の変異は、現在喫煙している、あるいは以前喫煙していた人に豊富に見られたが、放射線、プラチナ、トポイソメラーゼII阻害剤によるがん治療では、DNA損傷応答遺伝子(TP53PPM1DCHEK2)の変異が優先的に選択されていた。試料を連続的に採取することで、特定の治療法に曝露された際にはDNA損傷応答遺伝子に変異を持つクローンが他のクローンとの競合に勝つという決定的な証拠が示された。CHがすでに検出されている症例の中では、tMN診断時にはもうCH変異が存在していることが分かった。我々は、tMNのリスクを上昇させるCHの分子特性を明らかにした。診断時にクリニカルシーケンシングの実施が増えると、tMNのリスクのある患者を特定する機会になり、予防戦略につながる。

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