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スプライシング:患者特異的なNRXN1αの異常スプライシングが持つニューロンへの影響

Nature Genetics 51, 12 doi: 10.1038/s41588-019-0539-z

NRXN1は大規模な選択的スプライシングを受ける。NRXN1に非反復性ヘテロ接合欠失が起こると、神経精神疾患に強く関連する。今回我々は、ヒトの脳で見られるNRXN1αの選択的スプライシングの多様性をよく再現するニューロンを、ヒト誘導多能性幹細胞(hiPSC)から樹立し、ヒトNRXN1αのインフレームアイソフォーム123種類に関する信頼度の高いカタログを作成した。患者由来のNRXN1+/− hiPSCニューロンでは、野生型NRXN1αアイソフォームの半数が2倍以上減少しており、変異型対立遺伝子から新たにたくさんのアイソフォームが発現されていた。患者由来NRXN1+/− hiPSCニューロンに見られるニューロン活動の低下は、個々の対照アイソフォームを過剰発現することにより、遺伝子型依存的様式に改善された。一方、対照群hiPSCニューロンのニューロン活動レベルは、個々の変異型アイソフォームを過剰発現させることにより低下した。遺伝子型依存的様式で見られる患者特異的NRXN1+/−変異の表現型への影響は、野生型NRXN1αアイソフォームレベルの低下を介して起き得るだけでなく、変異型NRXN1αアイソフォームの存在によっても起きる可能性がある。

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