Analysis

がん免疫:未治療のがんゲノムではネオアンチゲン除去のシグナルは検出できない

Nature Genetics 51, 12 doi: 10.1038/s41588-019-0532-6

体細胞変異によってネオアンチゲンが生じることがある。ネオアンチゲンとは腫瘍細胞表面にHLA分子によって提示される免疫原性ペプチドである。このような変異には負の選択が働くと予想されるが、その結果となるネオアンチゲン除去が起こる程度は分かっていない。本論文では、HLAへの親和性予測を基盤として、HLAに結合するペプチドに翻訳される可能性に関してヒトゲノムの注釈付けを行い、また、未治療のがんの大規模なゲノムデータセットにおいて、一塩基置換率の低下に関するスクリーニングを行った。3塩基に基づく変異シグネチャーを考慮した場合、ネオアンチゲン除去の明確なシグナルは、検出力不足あるいは腫瘍の進化過程の初期に活性を示す効率的な免疫回避機構のため、無視できる程度になる。

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