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がん治療:がん治療による変異の足跡

Nature Genetics 51, 12 doi: 10.1038/s41588-019-0525-5

一部のがん治療はDNAに損傷を与え、がんを罹患した細胞と健康な細胞の両方に変異を引き起こす。治療によって生じる変異は、精神障害、臓器毒性、二次新生物など、長期間の治療や、治療の後期に生じる副作用の一部の原因である可能性がある。それにもかかわらず、さまざまな化学療法によって生じる変異の量はこれまで調べられていない。本論文では、さまざまな臓器に由来する3500以上の転移性腫瘍において、広く用いられている6つの抗がん治療が及ぼす影響、つまり変異シグネチャーあるいは変異の足跡を特定した。これらには、プラチナ製剤によって生じた既知および新規の変異シグネチャーと、ヌクレオシド系代謝拮抗薬によって生じた新規の変異シグネチャーが含まれている。我々は、これらの変異の足跡を利用して、さまざまな治療の腫瘍変異量への影響、また、それらの治療がゲノムのコード配列の変異やがんのドライバーとなる変異に関与するリスクを推定した。今回特定された変異の足跡から、さまざまながん治療による変異リスクを正確に評価することで、長期的な副作用を理解することが可能になる。

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