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免疫:免疫遺伝子は核区画に局在する近位の長鎖ノンコーディングRNAによってロバストな転写のための待機状態になる

Nature Genetics 51, 1 doi: 10.1038/s41588-018-0298-2

免疫関連遺伝子のプロモーターでのヒストンH3リシン4のトリメチル化(H3K4me3)の蓄積は、trained immunity(訓練された免疫)の際のロバストな転写を支える基礎となる。しかし、この分子基盤はまだ解明されていない。本論文では、クロマチンの三次元トポロジーにより、染色体上の免疫遺伝子が長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)の1つのサブセットと接触できるようになることを示す。我々は、このようなlncRNAを免疫遺伝子プライミングlncRNA(IPL)と定義した。原型となるIPL(UMLILO)はシスに作用して、ケモカインプロモーターにWDR5(WD repeat-containing protein 5)–MLL1(mixed lineage leukemia protein 1)複合体を向かわせることで、それらのプロモーターのH3K4me3のエピジェネティックなプライミングを促進することが分かった。この機構は、いくつかの訓練された免疫遺伝子に共有されていた。β-グルカンが仲介する訓練は、NFAT(nuclear factor of activated T cell)依存的にIPLの発現上昇を引き起こすことで、免疫遺伝子をエピジェネティックに再プログラム化する。マウスのケモカインのTAD(topologically associating domain)にはIPLがなく、Cxcl遺伝子群は訓練されない。マウスのマクロファージにおいてケモカインのTADにUMLILOを挿入すると、Cxcl遺伝子群の訓練が引き起こされたことは重要である。これはlncRNAが仲介する調節がtrained immunityの確立の中心であるという強力な証拠である。

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