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進化:ヒトゲノムにおける制約のあるコード領域の地図

Nature Genetics 51, 1 doi: 10.1038/s41588-018-0294-6

数千人に由来するヒトの遺伝的多様性(バリエーション)についての詳細なカタログにより、多様性があまり見られないコード領域を特定することで、種内に働く制約を検出できる。既存の技術では、全遺伝子に対する制約の要約は得られるが、一遺伝子規模の基準で各遺伝子内の領域に見られる制約のばらつきを明らかにすることはできない。そこで我々は、gnomAD(Genome Aggregation Database)の12万3136人に観察される配列多様性データを利用して、制約のあるコード領域(CCR)についての詳細な地図を作成した。最も高度の制約が見られたCCRは、ClinVarに登録されている病因性バリアントや発達障害の原因となる変異に多かった。CCRによって、高度の制約が見られるタンパク質ドメインファミリーが明らかになり、アノテーションされていないドメインや、タンパク質ドメインとして登録されていない例もあることが示唆された。常染色体優性遺伝性疾患の研究においてde novo変異を評価する際、パーセンタイル値が最も高いCCRはバリアントの既存の順位付け方法を補うことができる。また、疾患との既知の関連がない遺伝子内の高度に制約のあるCCRも突き止められた。この知見から、CCRによって強力な純化選択の下にある領域を特定できる可能性があると考えられ、このような領域に変異が生じると、重度の発達障害表現型あるいは胚性致死が引き起こされる。

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