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神経発達疾患:新生変異およびコピー数バリアントの罹患率によって明らかになる神経発達疾患関連遺伝子

Nature Genetics 51, 1 doi: 10.1038/s41588-018-0288-4

発達遅滞または自閉症の患者1万927人から得られた新生変異(DNM)のデータを統合して、ミスセンス変異や遺伝子を破壊するような(LGD)変異を持つ頻度が高い253個の神経発達疾患関連遺伝子候補を同定した。これらの遺伝子のうち、DNMがエキソーム規模の有意水準(P < 5 × 10−7)を満たすものは124個である。これらの結果をCNV(コピー数バリアント)罹患率データと照合したところ、候補遺伝子はゲノムの異常領域との一致率が高いことが判明した[30/253、尤度比(LR)+1.85、P = 0.0017]。ミスセンスDNMを有する頻度が高い遺伝子の中には、欠失症候群責任領域(例えば、KIF1Aと2q37欠失領域)、あるいは重複症候群責任領域(例えば、16p11.2重複領域に多発するMAPK3のミスセンス変異、12p13重複領域に多発するCHD4のミスセンスDNM、10q11.23重複領域に多発するWDFY4のミスセンスDNM)に位置するものが見られる。DNMを有する頻度が高い遺伝子をネットワーク解析した結果、例えば線条体のD1受容体、もしくはD2受容体陽性有棘ニューロンにおける細胞特異的な濃縮といった機能的ネットワークが確認された。

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