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心血管疾患:ROBO4バリアントは二尖大動脈弁および胸部大動脈瘤の罹患率を上昇させる

Nature Genetics 51, 1 doi: 10.1038/s41588-018-0265-y

二尖大動脈弁(BAV)は、しばしば上行大動脈瘤(AscAA)を合併するありふれた先天性心欠損である(人口当たりの罹患率は1~2%)。BAV/AscAAは常染色体優性形式で遺伝し、不完全浸透であり男性に多い。AscAAの有無にかかわらず、原因となる遺伝子変異(例えば、NOTCH1SMAD6)が同定されているのはBAVの無症候性症例の1%以下にすぎず、このことが病原機序の解明や治療法開発の妨げとなっている。ここでは、2つの家系で疾患との共分離が認められたROBO4(内皮機能への関与が知られている因子をコードしている)のバリアントの同定について報告する。ROBO4を標的とした塩基配列決定により、BAV/AscAA発端者は対照と比較して高い頻度でレアバリアントを有することが示された。内皮細胞株を用いてROBO4を標的とした発現抑制、あるいは変異型ROBO4の発現を行ったところ、バリア機能の障害が認められ、内皮間葉転換を示唆する合成レパートリーがもたらされた。この結果は患者およびROBO4欠損動物モデルに見られるBAV/AscAAに伴う所見と合致している。これらのデータは、この一般的なヒト疾患の内皮表現型に関わる新しい病原機序を明らかにするものである。

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