Letter

神経芽細胞腫:MYCN増幅神経芽細胞腫が選択的に必要とする遺伝子はコア転写調節回路に関係している

Nature Genetics 50, 9 doi: 10.1038/s41588-018-0191-z

MYCN遺伝子に増幅の見られる小児の高リスクな神経芽細胞腫は、効果的な治療が困難である。このことが発がんの根底にある腫瘍特異的遺伝子への依存性に対する関心を集め、新規治療薬開発のための重要な標的が同定されてきた。腫瘍細胞の増殖と生存に関与している遺伝子を検出するために、我々はゲノム規模で無作為に行うCRISPR–Cas9スクリーニングを実施し、300を超えるヒトがん細胞株を比較して、MYCN増幅神経芽腫細胞株が選択的に必要とする147の候補遺伝子を同定した。さらに、ゲノムワイドクロマチン免疫沈降法とハイスループット塩基配列決定法を併用した解析により、少数の必須転写因子(MYCN、HAND2、ISL1、PHOX2B、GATA3、TBX2)が、MYCN増幅神経芽細胞腫の細胞状態を維持している転写のコア調節回路(CRC)に含まれていることを実証した。BRD4阻害薬とCDK7阻害薬の併用によるCRCの遮断を試みたところ、in vitroおよびin vivoで両剤は相乗的に作用して、CRCに関わる転写因子の遺伝子発現を迅速に抑制した。本研究から、MYCN増幅神経芽細胞腫の細胞状態の維持および生存に必須の重要な遺伝子群が明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度