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前立腺がん:前立腺がんにおける発がん性ドライバーのロングテール分布

Nature Genetics 50, 5 doi: 10.1038/s41588-018-0078-z

前立腺がんの包括的なゲノム特徴付けから、特に、アンドロゲンシグナル伝達、DNA修復、およびPI3Kシグナル伝達に関与する遺伝子に頻発する変化が突き止められている。しかし、より大規模で均一なゲノム解析を行えば、低頻度だが変異が頻発する遺伝子がさらに明らかになるだろう。本報告では、1013の前立腺がんのエキソームの塩基配列決定データを集め、均一な方法で解析を実施した。その結果、ETS(E26 transformation-specific)転写因子との融合陰性でエピジェネティック調節因子の変異によって定義される新しいクラスの腫瘍や、これまでに前立腺がんとの関係が知られていなかった経路(スプライソソーム経路など)の変化が同定・確認された。また、変異が有意に多く見られる遺伝子(SMG)の出現頻度はロングテール分布を示しており、これらの遺伝子の多くは症例の3%未満でしか変異していないことが分かった。合計97のSMGが突き止められたが、そのうちの70(ユビキチンリガーゼCUL3や転写因子SPENなど)はこれまでに前立腺がんとの関連は示されていなかった。さらに、原発性前立腺がんと転移性前立腺がんの比較から、リスク層別化の情報となり得る1セットのゲノムマーカーが明らかになった。

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