Analysis

アルツハイマー病:高齢者の脳の統合的トランスクリプトーム解析によりアルツハイマー病に対する感受性にスプライシングの異常が関連していることが示唆される

Nature Genetics 50, 11 doi: 10.1038/s41588-018-0238-1

本研究では、2つの高齢者コホートに属する被験者450人の背外側前頭前野(DLPFC)におけるmRNAスプライシングの多様性の起源を、高深度塩基配列決定法を用いて明らかにした。mRNA前駆体の何百もの異常なスプライシングが、アルツハイマー病と再現性よく関連していた。また、スプライシング量的形質座位(sQTL)の効果の網羅的なリストを作成した。3006の遺伝子のスプライシングが、遺伝的多様性の影響下にあった。PICALMCLUPTK2Bのアルツハイマー病感受性対立遺伝子が、スプライシングの異常を介して作用していることを報告する。さらに、トランスクリプトーム全域にわたる関連解析を実施し、アルツハイマー病との有意な関連を有する21の遺伝子を同定した。その多くは既知の座位に位置していたが、8つは新規座位に見いだされた。これらの結果から、アルツハイマー病と関連する既知および新規の遺伝子がオートファジー–リソソーム関連経路に集中していることが明らかになった。高齢者脳のトランスクリプトームに関する本研究は、mRNAスプライシングの調節異常がアルツハイマー病の1つの特徴であり、遺伝的変異がその原因となっている場合もあることを実証している。

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