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インプリンティング:親由来の相が決定されたメチロームおよびトランスクリプトームから得られたインプリンティングの手掛かり

Nature Genetics 50, 11 doi: 10.1038/s41588-018-0232-7

インプリンティングとは、一方の親由来の対立遺伝子が他方の親由来の対立遺伝子よりも優先的に発現することである。インプリンティングは主として、CpGジヌクレオチドのシトシンのメチル化の差異によって制御される。本論文では、末梢血液試料から得た285のメチロームと1万1617のトランスクリプトームを親由来の相が決定されたハプロタイプと組み合わせることにより、ヒトゲノムのインプリントされたメチル化と遺伝子発現についての新しいマップを作成したことを報告する。メチル化のインプリントのされ方は、二値的ではなく、連続的な特徴を示すことを実証した。15q11.2のプラーダー-ヴィリ/アンジェルマン症候群座位での親由来メチル化パターンを高分解能で明らかにすると、確率論的にほぼ完全に起こる父親由来メチル化が、母親由来メチル化の「スパイク」によって中断されることが示された。多型を示すインプリントされたメチル化は、近傍のSNP遺伝子型に関係しない例(VTRNA2-1、PARD6Gで)と関係する例(CHRNEで)が見つかった。RNAアイソフォーム特異的にインプリントされた発現パターンが観察されたことにより、メチル化感受性の転写伸長阻止が示唆された。さらに、DLK1/MEG3座位やGNAS座位で表現型に親由来特異的な影響が及ぶことについての新しい手掛かりが得られた。

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