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黒色腫:PARP1のイントロンにおけるありふれたバリアントは黒色腫のリスクに関連し、MITFの調節を介してメラノサイトの増殖を促進する

Nature Genetics 49, 9 doi: 10.1038/ng.3927

これまでのゲノムワイド関連解析により、1q42.1に存在するPARP1遺伝子を含む約100 kbの領域が黒色腫関連座位として同定されている。この知見と矛盾することなく、メラノサイト系列の複数の細胞種における発現量的形質座位(eQTL)解析により、1q42.1に位置する黒色腫のリスク対立遺伝子(rs3219090[G])がPARP1の発現レベル上昇と相関することが示された。in silicoでの高密度マッピングならびに機能検証の結果、イントロンにおける挿入欠失(インデル)、rs144361550(−/GGGCCC、rs3219090とのr2 = 0.947)が、対立遺伝子特異的な転写活性を示すありふれたバリアントとして同定された。プロテオームスクリーニングにより、rs144361550に対して対立遺伝子優先的に結合するRECQLが同定された。ヒト初代メラノサイトにおいて、PARP1は細胞増殖を促進し、BRAFV600Eにより誘導される老化表現型をPAR化非依存的に救済した。PARP1はまた、BRAFV600Eを発現するTERT不死化メラノサイトに形質転換を起こさせた。PARP1による老化表現型の救済は、メラノサイト系列細胞の生存に関わるがん遺伝子MITFの転写活性化を伴っており、黒色腫形成におけるPARP1の新たな役割を示している。

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