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乳がん:挿入変異による変異誘発から乳腺浸潤性小葉がんの新しい発がん経路のドライバーが明らかになる

Nature Genetics 49, 8 doi: 10.1038/ng.3905

浸潤性小葉がん(ILC)は、乳がんの2番目によく見られるサブタイプで、全症例の8~14%を占めている。ヒトILCの大部分がEカドヘリン(CDH1にコードされる)の機能喪失を特徴とするが、Cdh1を不活性化してもマウスは乳腺腫瘍を発生しやすくならないことから、マウスにおいてはさらなる遺伝子の変異がILC形成に必要であると考えられている。これらの遺伝子を明らかにするために、Cdh1を乳腺特異的に不活性化したマウスにおいてSleeping Beautyトランスポゾン系を用いた挿入変異誘発スクリーニングを行った。これらのマウスには、多数の独立した乳腺腫瘍が発生し、その大多数が形態や遺伝子発現においてヒトILCに類似していた。頻発する相互排他的なトランスポゾン挿入がMyh9Ppp1r12aPpp1r12bTrp53bp2に同定された。これらの産物は、アクチン細胞骨格の調節に関係している。特に、MYH9PPP1R12BTP53BP2はヒトILCでも異常が見られることが多いことから、これらの遺伝子が、ILC発生の基礎となる新しい発がん経路のドライバーであることが明らかになった。

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