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疾患モデル:国際マウス表現型解析コンソーシアムが3,328遺伝子のノックアウトマウスから疾患モデルを発見

Nature Genetics 49, 8 doi: 10.1038/ng.3901

配列バリアントとヒト疾患との関連づけは次世代塩基配列決定法により飛躍的に容易になったが、ほとんどの遺伝子についてその機能や病因機序における役割が判明していないため、疾患の診断率の向上や新しい治療法の開発に対する恩恵は依然として限定的である。この課題の解決に向けて、国際マウス表現型解析コンソーシアム(International Mouse Phenotyping Consortium)では、ゲノムおよびフェノムの全体を網羅する遺伝子機能のカタログの作成を進めている。カタログ作成では、広範にわたる標準化された表現型解析検査により、さまざまな生物システムにかかわる新たな遺伝子ノックアウトマウス系統の特徴を解析した。全てのマウスは生物医学研究のために提供可能である。最初の3,328遺伝子の解析により、疾患モデルとなる360のマウス系統が見つかった。その中には、C型ベルナール・スーリエ症候群、バルデー・ビードル症候群5型、ゴードン ホームズ症候群など、我々の知る限りではこれまで疾患モデルが存在しなかった疾患も含まれている。アノテーションされた表現型の90%は新規のものであり、そのうちの1,092の遺伝子には機能の証拠が見つかり、また、遺伝学的な病因機序がこれまで不明であった不整脈原性右室異形成3型などの疾患に機能が関連している可能性がある遺伝子の候補も見つかっている。最後に、10万ゲノム解析プロジェクト(100,000 Genomes Project)などで行われているバリアントの機能検証において、我々が果たす役割について述べる。

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