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血中代謝産物:全ゲノム塩基配列決定によりヒトの血中代謝物に関連するバリアントをありふれたものからまれなものまで同定

Nature Genetics 49, 4 doi: 10.1038/ng.3809

血中メタボロームを変化させる遺伝因子は、ありふれた遺伝的バリアントについてのゲノムワイド関連解析(GWAS)やエクソーム塩基配列決定によって研究されてきた。本論文では、成人1,960人を対象にした代謝産物の包括的なプロファイリングをもとに、ありふれたバリアント、低頻度バリアント、稀少バリアントに対する全ゲノム配列決定を行い、遺伝学的多様性に関連する代謝産物の血中濃度を明らかにした。今回は、3か所における長期間のデータ収集の全てにおいて整合性のある血中濃度を示す644の代謝産物に対する解析に重点を置いた。101の座位にみられる配列のバリエーションが、246(38%)の代謝産物の濃度に関連を示した(P≤1.9× 10−11)。ここで、コホート中の互いに血縁関係のない1,054人のうちの113人(10.7%)に、17遺伝子の機能に影響すると推定されるヘテロ接合性のまれなバリアントが保持されていることが判明した。これら17のうち13の遺伝子は先天性代謝異常あるいは他の小児遺伝疾患と関連していた。本研究は、メタボロームに影響を及ぼす座位の地図を拡張させ、成人の血中代謝における表現型の異常を決めているまれなヘテロ接合性バリアントの重要性を浮き彫りにするものである。

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