Technical Report

変異導入:複数のCas9ヌクレアーゼを用いるバリアントを考慮した飽和変異導入により形質関連座位の調節配列が明らかになる

Nature Genetics 49, 4 doi: 10.1038/ng.3793

Cas9を用いたハイスループットのsaturating in situ mutagenesis(in situでの飽和変異導入)により、ゲノム断片全体にわたる機能を詳細にマッピングすることが可能になる。ゲノムワイド関連研究で同定された疾患や形質に関連するバリアントは大部分が調節性座位にクラスターを形成するものである。本論文では、複数のデザイナー・ヌクレアーゼとバリアントを考慮したライブラリーの設計により、形質関連の調節性DNAを高分解能で調べたことを示す。我々は、単一あるいは複数のヌクレアーゼを用いて、バリアントを含んだ飽和変異導入ライブラリーを作製するためのコンピューターツールを開発した。この方法を、胎児型ヘモグロビンレベルなどの赤血球の形質に関連する領域であるHBS1L-MYB遺伝子間領域に適用した。この手法により、MYBの発現を制御する推定調節配列を同定した。ゲノムコピー数の解析を行うと、偽陽性領域の可能性が浮かび上がってきたので、飽和変異導入実験の設計ではオフターゲット解析が重要であることが強く示唆された。総合的にこれらのデータは、疾患や形質に関連する大規模領域内の最小限の機能配列を同定するために広く適用できるハイスループットで高分解能の方法を確立している。

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