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自己免疫疾患:NCF1のミスセンスバリアントは複数の自己免疫疾患の感受性に関連している

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3782

全身性エリトマトーデス(SLE)は症状が多彩な自己免疫疾患で、自己抗体産生とI型インターフェロンシグネチャーを特徴とする遺伝的要因が強く関わっている。本論文では、食細胞のNADPHオキシダーゼ(NOX2)のp47phoxサブユニットをコードするNCF1遺伝子のミスセンスバリアント(g.74779296G>A; p.Arg90His)について報告する。このバリアントはImmunochipを用いた関連解析において、ゲノム構造が複雑な7q11.23のGTF2IRD1GTF2I領域に強いSLE関連シグナルが検出されたことにより、疾患原因の候補バリアントと考えられる。そして、活性酸素種(ROS)産生の低下を引き起こすことが報告されているp.Arg90His置換によって、SLEへの易罹患性〔アジア人でオッズ比(OR)= 3.47(Pmeta = 3.1 × 10−104)、ヨーロッパ系アメリカ人でOR = 2.61、アフリカ系アメリカ人でOR = 2.02〕、およびSLE以外の自己免疫疾患、例えばシェーグレン症候群(中国人でOR = 2.45、ヨーロッパ系アメリカ人でOR = 2.35)や関節リウマチ(韓国人OR = 1.65)への易罹患性を示すことが明らかになった。さらに、NCF1のコピー数の減少および増大がそれぞれ、SLEへの易罹患性および防御的効果を持つことが判明した。今回の研究成果は、NOX2に生じた異常によるROSレベルの低下が、自己免疫疾患の病因となることを浮き彫りにするものである。

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