Analysis

乳がん:乳がんでは体細胞変異過程により生殖細胞系列感受性座位や組織特異的スーパーエンハンサーの重複が頻発している

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3771

体細胞でのゲノム再編成はがんゲノムの変異の形成に全体的に影響する。本論文では、PCF(piecewise constant fitting:区分定数フィッティング)の手法を用いて560の乳がんにおけるゲノム再編成を系統的に調べた。大規模な(>100 kb)縦列重複のホットスポットが33カ所同定され、この変異のシグネチャーは相同組換え修復不全に関連していた。これらの縦列重複ホットスポットは、乳がんの生殖細胞系列感受性座位〔オッズ比(OR)= 4.28〕および乳腺特異的「スーパーエンハンサー」調節配列(OR = 3.54)に豊富に見られたことは重要である。これらのホットスポットは、転写活性が高いため、二本鎖切断による損傷に選択的に感受性を示す部位である可能性や、あるいは、徐々にコピー数が増加したため、二次選択圧を受ける部位である可能性がある。トランスクリプトーム解析からこれらの縦列重複の及ぼす効果は、個々の強力な発がん効果から、弱いが定量化できる多遺伝子発現効果まで広範囲にわたることが示された。従って、体細胞での再編成による変異過程は、コード配列にも非コード調節配列にも影響を及ぼし、中から高程度に強力な効果を及ぼす一連のドライバー変異として寄与することが分かった。これは、がん発生の多遺伝子モデルを裏付けるものである。

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