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橋小脳低形成:3′エキソヌクレアーゼTOE1の両対立遺伝子性変異は、橋小脳低形成を引き起こし、TOE1のsnRNAプロセシングにおける役割を明らかにする

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3762

デアデニラーゼはmRNA分解過程でポリ(A)尾部を分解することがよく知られている。デアデニラーゼファミリーは進化の過程で拡大し、哺乳類では12種類のMg2+依存性3′末端RNアーゼから構成されているが、それらの基質特異性についてはほとんど分かっていない。橋小脳低形成7型(PCH7)は、神経変性と外性器異常を特徴とする独特の劣性遺伝症候群である。本論文ではPCH7の12家系について解析し、特殊なデアデニラーゼをコードするTOE1の両対立遺伝子性の機能喪失変異を突き止めた。ゼブラフィッシュのtoe1モルファントは中脳および後脳の変性を示したことから、in vivoでのPCH様構造異常のモデルになると考えられた。意外なことに、TOE1はスプライソソームで不完全なプロセシングを受けた核内低分子RNA(snRNA)に結合することが分かった。このような3′ゲノムにコードされる尾部を含むsnRNA前駆体は転写後にアデノシンが付加されることが多い。TOE1レベルの低下したヒト細胞には3′末端が伸長したsnRNA前駆体が蓄積しており、免疫学的に単離したTOE1複合体はsnRNAの3′末端の成熟に十分であった。我々の知見は、snRNAの成熟に関係する神経変性症候群の原因を突き止め、またsnRNAの3′末端のプロセシングに関与する重要な因子を明らかにするものである。

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