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炎症性腸疾患:炎症性腸疾患における複数のインテグリン遺伝子の免疫活性化がゲノムワイド関連解析により明らかになった

Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3760

遺伝的関連解析から215の炎症性腸疾患のリスクの座位が同定されており、その結果、この疾患の分子生物学的な特性に関する基盤が明らかになっている。今回、25,305例に対してゲノムワイド関連解析を行い、既に報告された関連解析データと共に、総サンプルサイズが59,957例となるメタ解析を実施した。その結果、新たに25の感受性座位を同定し、そのうち3つの座位には、インテグリン遺伝子が含まれていた。インテグリン遺伝子のコードするタンパク質は、炎症性腸疾患の重要な治療標的であることが判明している経路に関与している。今回のメタ解析で関連が見つかったバリアントは、免疫刺激に応答した次に示す遺伝子座の発現変化と相関していた。すなわち、上記で関連が同定された座位2つ(ITGA4およびITGB8)と、関連が既知の座位(ITGALおよびICAM1)である。これらの4つの場合すべてで、発現を上昇させる対立遺伝子は疾患のリスクも上昇させた。また、原発性免疫不全関連遺伝子であるPLCG2、および負の炎症調節因子SLAMF8において、疾患原因と考えられるミスセンスバリアントを同定した。今回の研究結果は、ありふれたバリアントについての関連解析をさらに進めて新たな関連を見つけることが、治療標的の同定や優先順位付けに関与する遺伝子の発見に有効であることを示している。

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