Analysis

ヒストンメチル化:H3K36のメチル化異常は頭頸部がんの一亜群の特徴である

Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3757

ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性の頭頸部重層扁平上皮がん(HNSCC)は、高頻度の致死的ながんである。最近のゲノム解析で、その発生には多くの遺伝的経路、つまりシグナル伝達、細胞周期、免疫回避などの関与が示された。本研究では、公開されたデータセットを解析した結果、13%のHPV陰性HNSCCの発生にこれまで注目されていなかったエピゲノム上の脱制御が関わっていることを発見したので報告する。特に、多数のH3ヒストン遺伝子でp.Lys36Met(K36M)の変化をもたらす新生変異が頻発することを見つけた。さらに、この変異が多くの独立したHNSCCデータセットで存在することを確認し、以前に報告されているNSD1変異と同様に、特異的なDNAメチル化クラスターであることが分かった。K36M置換およびNSD1欠損は、ヒストンH3のK36(H3K36)でのメチル化を変化させるという結果をもたらし、その結果、細胞分化を阻害し発がんを促進する。我々のデータはさらにHPV陰性HNSCCではNSDファミリーの重複が少ないことを示しており、H3K36メチル化の異常がその発生に潜在的な役割を担っていることが示唆される。クロマチン制御因子を標的とする薬剤のさらなる研究は、H3K36メチル化の異常により誘発されるHPV陰性HNSCCにおいて期待が持てる戦略である。

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