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HIV感染:ゲノムワイドCRISPRスクリーニングにより、HIV感染における宿主因子を限られた数に絞る

Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3741

宿主タンパク質は、HIVの侵入と複製に不可欠であり、このことから、非ウイルス性の治療標的となる可能性がある。大規模なRNA干渉(RNAi)によるスクリーニングから、1,000近い数の候補宿主因子がこれまでに同定されてきたが、それらの研究で一致した結果が得られることはほとんどなく、きちんと検証できたものはわずかな因子でしかない。本論文では、生理的に妥当な細胞系において、ゲノムワイドCRISPRによるスクリーニングを行い、宿主因子5つを同定したので報告する。これらには、HIVの共受容体であるCD4およびCCR5が含まれている。これらの5つの因子はHIVの感染に必要であるが、宿主細胞の増殖と生存には必要でない。TPST2(tyrosylprotein sulfotransferase 2)とSLC35B2(solute carrier family 35 member B2)は、CCR5の細胞外チロシン残基を硫酸化する共通の経路で機能して、HIVエンベロープがCCR5を認識するのを助けている。活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)は細胞の凝集を仲介し、これが細胞間のHIV伝播に必要であった。我々は、初代培養のヒトCD4+ T細胞において、Cas9によるノックアウトや抗体による遮断を行うことで、これらの経路を検証した。我々の知見は、HIVの感染や複製が宿主には必要でない限られた遺伝子のセットに依存していること、またこれらの経路は治療的介入のための研究が可能であることを示している。

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