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ジストニア:ヒストンメチル化酵素遺伝子KMT2Bの変異は複合性若年発症型ジストニアを引き起こす

Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3740

ヒストンのリシン残基のメチル化は、混合型白血病(MLL)タンパク質による制御を受けているが、遺伝子発現やゲノム安定性、細胞周期、核内空間構造パターンの調節に際して必須であることが判明している。MLLタンパク質が正常な発生に不可欠であると想定されているにもかかわらず、MLLリシンメチル化酵素の機能についてはほとんど知られていない。本論文では、典型的な顔貌や特徴的なMRI所見を呈することが多い、複合型進行性ジストニアの患者27人がKMT2BMLL4としても知られている)のヘテロ接合性バリアントを有することを見つけたので報告する。この27人は互いに血縁関係にない。これらの患者の大部分は、時間経過とともに、頸部、頭部、咽頭部に顕著なジストニア症状が出現した。そして、脳深部刺激(DBS)治療後には、いくつかの症例で独立歩行が回復するなどの著しい治療効果が観察された。今回得られた知見は、遺伝性ジストニアのうち、臨床上の識別が可能で、治療できる可能性の高いジストニアに光を当てるとともに、随意運動の生理学的な制御におけるKMT2Bの重要な役割を示すものである。

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