Letter

糖尿病治療薬:グルコーストランスポーター遺伝子SLC2A2の変異はメトホルミンに対する血糖応答に関連している

Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3632

メトホルミン(metformin)は世界中で1億人以上が服用している第一選択の糖尿病治療薬であるが、その作用機序はいまだ明らかになっていない。今回、祖先が異なる13,123人を対象に、Metformin Genetics(MetGen)コンソーシアムが行った3段階のゲノムワイド関連研究(GWAS)について報告する。SLC2A2は、促進拡散型のグルコーストランスポーターGLUT2をコードする遺伝子であるが、イントロンに存在するrs8192675のC対立遺伝子が、ヨーロッパ系10,577人において、メトホルミンによるヘモグロビンA1c(HbA1c)値低下作用の0.17%増大に関連していた(P=6.6×10−14)。rs8192675は、1,226のヒト肝試料において、SLC2A2cis発現量的形質座位(cis-eQTL)として最も上位に位置していた。このことは、肝GLUT2がメトホルミンの作用調節において重要な役割を担っていることを示唆している。肥満している人のうちrs8192675でC対立遺伝子がホモ接合性の場合には、T対立遺伝子ホモ接合性の場合に比べて、HbA1c絶対値の低下が0.33%(3.6 mmol/mol)大きくなっていた。この効果は、DPP-4阻害剤併用のおよそ半分の値であり、メトホルミン投与の550 mg増量で生じる効果と同等であった。この結果は、rs8192675が層別化医療のための有望なバイオマーカーであることを示すものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度