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免疫:MHCタンパク質の遺伝的多様性がT細胞受容体の発現の違いに関連している

Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3625

各個人には高度な多様性を示すT細胞受容体レパートリーがあり、それが主要組織適合複合体(MHC)分子によって提示されるペプチドと相互作用している。熱心な解析が行われているにもかかわらず、生殖細胞系列ゲノムでコードされたTCRとMHCが接触することが、TCR-MHCの特異性を促進するのか、そして、もしそうなら、各TCR V遺伝子が持つさまざまなMHC対立遺伝子への適合性に違いがあるのかについては、依然として議論が分かれている。今回、eQTL(発現量的形質座位)マッピングを行い、大規模ヒト集団コホートにおいて、遺伝的多様性とTCR V遺伝子の利用がどう関連するかを調べた。その結果、MHC座位の多様性とTCR V遺伝子の利用との間に、transに作用する強い関連があることが判明した。関連シグナルのゲノム上の位置を詳細にマッピングすると、特定のV遺伝子の利用に影響するMHC遺伝子由来のアミノ酸の存在が明らかになった。これらのアミノ酸の多くは、TCR-ペプチド-MHC複合体を構成するTCRもしくはペプチドに接触しているか、あるいは近接していた。従って、このようなMHCバリアントはTCRとMHCの相互作用に直接影響する可能性がある。また、そのうちのいくつかのバリアントは自己免疫疾患に関連している。上記の結果は、タンパク質間相互作用を介するtrans-QTL効果の最初の例であり、この効果は、TCR-MHC本来の特異性と一致している。

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