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シロイヌナズナ:シロイヌナズナ属のゲノム塩基配列決定 により、非分岐型の種分化と大量の種横断的多型の複雑な歴史が明らかになった

Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3617

種という概念は、生殖的に隔離された単位が、分岐木において互いに関係しているというものである。この意味するところは、遺伝子系統樹は基本的に種系統樹と一致しており、また、姉妹分類群は、最近の分岐でないかぎり共通の多型を持たず、外群に対して同程度に近縁であるということである。今やこのモデルを体系的に評価することが可能である。我々は、全シロイヌナズナ属を代表する27の分類群から、複数の個体についてゲノム塩基配列決定を行った。クラスタ解析を行った結果、7つのグループが同定された。これらは分類学的に記載された種に対応しており、属内の構造を捉えている。しかしながら遺伝子系統樹のレベルでみると、普遍的に支持されたのは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)と他の種との分離のみであった。全体的には、種間で共通する多型の量から導かれた生殖隔離の時期は、推定されている分岐時期よりも大幅に最近であった。我々は、分岐する種系統樹と相容れない過去の遺伝子流動の例を複数発見した。さらに、遺伝子系統樹の分岐パターンが遺伝子カテゴリー間で異なることが明らかになり、自然選択の役割が示唆された。

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