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オオムギ:6,000年前の栽培穀粒のゲノム解析がオオムギ栽培化の歴史を明らかにする

Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3611

禾穀類であるオオムギは、今から約1万年前に「肥沃な三日月地帯」で栽培化され、新石器時代の農耕における「創始者作物」となった。本論文では、死海に近いユダヤ砂漠の洞窟で発掘された6,000年前のオオムギ粒5個のゲノム配列を示す。現代のオオムギアクセッションの多様性パネルから得られた全エキソーム配列データと比較した結果、古代の試料には南部レバントおよびエジプトに現存する在来種との近縁性が認められ、このことは栽培オオムギの起源がヨルダン渓谷上流部と考えられていることと整合する。栽培集団や同所的な野生集団との遺伝子交流を示す証拠は存在するものの、今回の知見は、現在のイスラエルで栽培されているオオムギ在来種には過去6,000年にわたって大きな系統的転換が生じていないことを示唆している。我々は、作物種の起源、初期の栽培化、その後の移動に関する研究の情報源として、乾燥した植物考古学的な遺物から得られる古代ゲノムが有用であることを明らかにした。

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