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濾胞性リンパ腫:濾胞性リンパ腫に頻発しmTORC1を活性化するRRAGC変異

Nature Genetics 48, 2 doi: 10.1038/ng.3473

濾胞性リンパ腫は治療不能のB細胞悪性腫瘍で、t(14;18)転座とエピゲノムに影響を与える変異を特徴とする。JAK-STAT、NOTCH、NF-κBといった重要なシグナル伝達経路に頻発する遺伝子変異も明らかになっているが、これらの一連の変異は、密接に関係するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と概して重なり合う。発見段階のエキソーム塩基配列決定と拡大コホートでの標的塩基配列決定を組み合わせて行ったところ、RRAGCの頻発性体細胞変異が濾胞性リンパ腫の患者にだけ特異的に存在することが明らかになった(17%)。これらの変異の半分以上が、ATP6V1B2あるいはATP6AP1の変異と特異的に共存していた。ATP6V1B2ATP6AP1は、アミノ酸誘導性のmTORC1活性化に必要なことが知られている液胞型H+-ATP ATPアーゼ(V-ATPアーゼ)の構成要素をコードしている遺伝子である。RagCバリアントはraptorとの結合が増加しており、mTORC1シグナル伝達をアミノ酸除去に抵抗性にした。RRAGC変異は、活性化を引き起こす性質を持ち、優位なクローンに存在し、この疾患の進展過程で安定していることから、治療標的として優れた候補になる可能性が裏付けられた。

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