Technical Report

量的形質座位:RASQUALおよびATAC-Seqによる細胞量的形質座位の同定

Nature Genetics 48, 2 doi: 10.1038/ng.3467

高速DNA塩基配列決定技術を用いて細胞形質を測定する際、量的形質座位(QTL)の影響は個体間のリード数および個体内の対立遺伝子頻度の差異として現れる。我々はこのQTLを同定するための新たな統計的アプローチとして、単に遺伝的影響を推定するだけでなく、塩基配列決定データに内在するさまざまなバイアスを考慮した解析手法、RASQUAL(Robust Allele-Specific Quantitation and Quality Control)を提案する。RASQUALは、RNA-SeqやDNase-seq、ChIP-Seqに対する既存の手法と比較しても、原因となる量的形質座位の同定精度を大幅に改善させることができる。またATAC-seqを用いたヨーロッパ集団における初のクロマチンアクセシビリティQTL(caQTL)マップを作成することにより、2,707座位もの独立したcaQTLを発見し〔偽陽性率(False Discovery Rate):10%〕、限られた標本数においても関連の検出力が最大化されることを実証した。同時に遺伝子調節変異を同定し、遠隔の調節領域を遺伝子プロモーターに関連づける上で、RASQUALおよびATAC-seqの組み合わせがいかに効果的な情報を提供しうるかを示した。この結果は、個体間および対立遺伝子特異的な差異の情報を統合することによって、非コード領域の遺伝子調節機能の遺伝的多様性に関する我々の理解を大きく向上させるものである。

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