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複合免疫不全:トランスフェリン受容体1をコードするTFRCのミスセンス変異は複合免疫不全を引き起こす

Nature Genetics 48, 1 doi: 10.1038/ng.3465

T細胞やB細胞の数は正常であるが、その機能が障害されていることを特徴とする複合免疫不全の患者に、TFRCによってコードされるトランスフェリン受容体1(TfR1)のホモ接合性p.Tyr20His置換が見られた。この置換によりTfR1の内在化モチーフが破壊され、受容体のエンドサイトーシス異常や細胞表面でのTfR1発現の顕著な増加が引き起こされた。クエン酸鉄はリンパ球の異常を救済し、また、患者由来の繊維芽細胞に野生型TfR1を発現させるとトランスフェリンの取り込み障害が救済されたが、変異型TfR1を発現させても救済されなかった。TfrcY20H/Y20Hマウスでは患者の免疫学的異常が再現された。赤血球の発生や機能にTfR1が重要な役割を担うにもかかわらず、患者には軽度の貧血が見られるだけで、赤血球前駆細胞でのTfR1の発現はわずかに増加しているだけであった。赤芽球に発現するメタロレダクターゼであるSTEAP3がTfR1と結合して、患者由来繊維芽細胞でトランスフェリンの取り込みを部分的に救済することが分かった。このことから、STEAP3が患者を重症貧血から救うTfR1エンドサイトーシスの補助シグナルである可能性が示唆される。これらの知見は適応免疫におけるTfR1の重要性を実証している。

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