Letter

概日時計:栽培化はトマトにおける概日時計の減速の選択

Nature Genetics 48, 1 doi: 10.1038/ng.3447

概日時計は植物生理や発生における重要な調節因子であり、作物の農業上重要な形質をコントロールしている。そして、概日リズムの自然変異は、植物の各地での適応に重要である。しかしながら、人工的な選択により概日リズムが量的に変動しているという報告はこれまでされていない。今回、我々は栽培種のトマト(Solanum lycopersicum)の概日時計が栽培化の間に遅くなっていることを明らかにした。シロイヌナズナのEID1遺伝子の、トマトにおけるホモログである対立遺伝子に見られる変異が、位相の遅れの原因となっていた。特にEID1を含むゲノム領域が進化の選択的スウィープ(除去)の特徴を示していることが注目に値する。我々は栽培種トマトのEID1対立遺伝子が特に長日性の光周期のもとで作物の品質を向上させることを見いだした。このことは、人類が、赤道から離れた場所で栽培化をしていく際に、長い夏の日に適応させるために遅い概日リズムが選択されたことを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度