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白血病:MLLが再構築された急性骨髄性白血病のトランスクリプトームの全体像および方向性を持った化学的解析

Nature Genetics 47, 9 doi: 10.1038/ng.3371

本論文では、原発性の急性骨髄性白血病(AML)試料の次世代塩基配列解読により、KMT2AMLL)の再構築が見られる白血病の2つのサブグループに共通する遺伝学的ネットワークを同定した。このサブグループとは、MLLの融合を持つものと、MLLの部分的な縦列重複と持つものである。これらを統一的に表す遺伝学的ネットワークは、我々の知る限り初めてである。このネットワーク内において、最もサブタイプ特異的な発現上昇が見られた遺伝子LOC100289656が、実際に上方制御されていることを実験的に確認するとともに、新規のMLL-ENAH融合といった、標準的な検査では明らかになっていなかった隠れたMLL融合が存在していることを明らかにした。また、MLLの融合が見られるAML試料の中には、SPI1の変異とその転写ネットワークの不活性化を伴うものや、あるいは、RAS経路に変異が頻発するものも存在した。このMLLの融合とRAS経路の変異を持つ白血病細胞では、MEK阻害剤および受容体型チロシンキナーゼ阻害剤の間の合成致死性相互作用に感受性になった。このように、MLLが再構築されたヒトAMLのトランスクリプトミクスを基盤にした特徴付けおよび化学的解析は、この疾患を定義する補足的な特徴を明らかにするために役立つ手法である。

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