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リンパ腫:エキソーム配列解読により、NK(ナチュラルキラー)/T細胞リンパ腫におけるDDX3Xの体細胞変異を同定

Nature Genetics 47, 9 doi: 10.1038/ng.3358

NK(ナチュラルキラー)/T細胞リンパ腫(NKTCL)は、CD56+リンパ球および細胞質内CD3+リンパ球の悪性増殖であり、臨床経過は進行性で、アジアおよび南米の集団において高頻度に見られる。NKTCLの分子的な発症機序はほとんど解明されていない。本論文では、NKTCL患者25人において全エキソーム配列解読により体細胞変異を同定し、それらの変異について、拡大検証群80人において標的配列解読により確認した。変異の頻発は、腫瘍抑制因子(TP53およびMGA)、JAK-STAT経路の分子(STAT3およびSTAT5B)、エピジェネティックモディファイアー(MLL2ARID1AEP300およびASXL3)によく見られ、特に、RNAヘリカーゼ遺伝子DDX3Xに最も高頻度に見られた(21/105被験者、20.0%)。変異型DDX3Xは、野生型タンパク質と比べて、RNA巻き戻し活性の低下、NK細胞での細胞周期進行に与える抑制効果の喪失、およびNF-κB経路およびMAPK経路の転写活性化を示した。臨床的には、DDX3X変異を持つ患者は予後不良を示した。従って、我々の研究はNKTCLの発症機構の理解に寄与するものである。

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