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皮膚腫瘍:皮膚腫瘍ケラチノサイトにおけるAireと遺伝子発現のケラチン依存性調節

Nature Genetics 47, 8 doi: 10.1038/ng.3355

中間径フィラメントタンパク質ケラチン17(K17)の発現は、炎症性皮膚疾患や重層上皮および偽重層(あるいは多列)上皮から発生する多くの腫瘍で高度に亢進している。本論文では、転写調節因子の1つである自己免疫調節因子(Aire)がヒトおよびマウスのケラチノサイトの腫瘍においてK17に依存して発現誘導されること、そしてAireが、マウスにおいてGli2起因性の皮膚腫瘍形成が適切な時期に開始されるために必須であることを報告する。ケラチノサイトにおけるAire mRNAの発現誘導は、K17とヘテロ核内リボヌクレオタンパク質K(hnRNP K)との間の機能的な相互作用の影響下にあった。さらにK17は、腫瘍好発性のケラチノサイトの核内でAireタンパク質と共局在しており、それぞれが、K17およびAire依存性に発現する炎症惹起遺伝子の関連サブセットのプロモーター領域に結合していた。このプロモーター領域には、NF-κBコンセンサス配列が存在した。上記の結果は、疾患によって変化をきたした上皮における炎症反応および免疫反応のK17依存性増強に関する分子機序を明らかにするとともに、ケラチン中間径フィラメントとAireについて、これまでになかった新しい見解をもたらした。

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