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胃がん:ATMの機能喪失型バリアントによって胃がん発症リスクが生じる

Nature Genetics 47, 8 doi: 10.1038/ng.3342

胃がんは、世界規模の深刻な健康上の問題の1つで、特に東アジアで罹患率が高い。アジア人集団を対象にしたゲノムワイド関連解析(GWAS)から、胃がん発症リスクに関連するいくつかの座位が同定されている。本論文ではヨーロッパ人集団を対象に、集団中の胃がん患者2,500人と対照群205,652人のデータを用いて胃がんに関するGWASを行ったので報告する。我々は、ATMの複数の機能喪失型変異が胃がんと関連することを見いだした〔遺伝子検定、P=8.0 × 10−12、オッズ比(OR)=4.74〕。3つの機能喪失型バリアントp.Gln852*、 p.Ser644*、p.Tyr103*を一まとめにしたセット〔総マイナー対立遺伝子頻度(MAF)=0.3%〕は、膵臓がんと前立腺がんにも関連を示し(それぞれOR=3.81と2.18)、また乳がんと大腸がんの発症リスクへの関連も示唆した(それぞれOR=1.82と1.97)。また、機能喪失型のATM変異を持つ人は、この変異を持たない人に比べてはるかに低年齢でがんと診断されていた。今回の結果から、ヨーロッパ人の胃がんと、これまでアジア人で報告されていた3つの胃がんリスク座位、MUC1PRKAA1PSCAとの関連が確認され、胃がんリスクに関連するPRKAA1のシグナルの位置が絞り込まれ、MUC1に同定された縦列反復配列が胃がん発症に果たす役割が裏付けられた。

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