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先天色覚異常:小胞体ストレス応答制御因子ATF6の変異は錐体機能異常症である先天色覚異常を起こす

Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3319

先天色覚異常の1色覚(ACHM)は常染色体劣性遺伝する疾患で、色覚異常、羞明、眼振を特徴とし、視力の著明な低下を来す。ホモ接合性マッピングと全エキソーム、候補遺伝子の配列解読により、10の家系でATF6(activating transcription factor-6Aをコードする)遺伝子に、6個のホモ接合性変異および2個の複合へテロ接合性変異を見つけた。ATF6は、折りたたまれていないタンパク質に対する応答(UPR、小胞体ストレス応答)の主要な制御因子であり、細胞小胞体の恒常性を維持している。患者は網膜中心窩低形成や錐体光受容体層の破壊を示していた。色盲に関わるATF6の変異は、小胞体ストレス応答においてATF6の転写活性を弱めるよう働く。Atf6−/− のマウスは、網膜の形態と機能は幼弱期には正常だが、加齢とともに桿状体と錐体の機能不全を起こしてくる。この新しい色盲関連遺伝子は、ヒト中心窩の発達および錐体機能におけるATF6Aの予想外の重要な役割を示すとともに、全身で発現している遺伝子でありながら、変異により網膜光受容体のみに表現型を示すタイプの遺伝子であることを明らかにした。

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