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メチローム:ヒトB細胞分化過程でのDNAメチロームの全ゲノムフィンガープリント

Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3291

全ゲノムのバイサルファイト処理塩基配列決定および高密度マイクロアレイにより、B細胞分化プログラムの全ての段階にわたる10種類の細胞集団のDNA メチロームを解析した。非CpGのメチル化はB細胞系譜への拘束の際に消失したが、CpGのメチル化はB細胞成熟過程で広範囲にわたって変化したことから、メチル化の累積パターンが明らかになり、また、測定した全CpG部位の約30%にメチル化の影響が見られた。初期分化段階では、エンハンサーの脱メチル化が主に示され、これは重要なB細胞転写因子の上方制御と関連しており、また、B細胞生物学に関与する多数の遺伝子に影響を及ぼした。対照的に、後期分化段階では、ヘテロクロマチンの大規模な脱メチル化およびポリコーム抑制領域でのメチル化獲得が示されたが、B細胞の機能に影響を与えそうな遺伝子は影響を受けなかった。このようなシグネチャーは、これまでに加齢やがんとの関連が明らかになっていたが、今回、寿命の長い成熟細胞に特に広く見られることが判明した。B細胞新生物と対応する正常B細胞を比較すると、B細胞新生物では、正常なB細胞分化過程で、すでに動的なメチル化を受けている領域のメチル化の変化を獲得することが多いことが突き止められた。

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