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白血病:白血病細胞におけるNALP3インフラマソームの上方制御およびグルココルチコイド受容体のCASP1による切断がグルココルチコイド耐性を引き起こす

Nature Genetics 47, 6 doi: 10.1038/ng.3283

グルココルチコイド類は急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に一般に使用されており、白血病細胞のグルココルチコイド類への耐性は予後不良に寄与する。本論文では、グルココルチコイド耐性の機構を解明するために、新たにALLと診断された444人の患者の初代培養白血病細胞のプレドニゾロン感受性を決定し、グルココルチコイド耐性白血病細胞ではCASP1(カスパーゼ1をコードする)およびその活性化因子のNLRP3が有意に高く発現していることを見いだした。これは、体細胞でのCASP1およびNLRP3のプロモーターのメチル化が有意に低いためであった。CASP1を過剰発現させると、グルココルチコイド受容体の切断、グルココルチコイドが誘導する転写応答の低減、グルココルチコイド耐性の増加が引き起こされた。CASP1を過剰発現するALLにおいて、CASP1のノックダウンあるいは阻害を行うと、グルココルチコイド受容体レベルが有意に上昇し、グルココルチコイド耐性が軽減された。我々の知見は、NLRP3-CASP1インフラマソームが細胞のグルココルチコイド受容体レベルを調節し、細胞のグルココルチコイドへの感受性を低下させるという新しい機構を実証するものである。この機構は、グルココルチコイドが誘導する転写応答に広範な影響を与えるので、他の疾患においてもグルココルチコイドの働きの影響が及ぼされる可能性が考えられる。

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