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機能喪失型バリアント:8,554人における機能喪失型バリアントおよび20のリスク因子表現型を解析し、慢性疾患に影響を及ぼす座位を同定する

Nature Genetics 47, 6 doi: 10.1038/ng.3270

標準的なヒトエクソームに存在する多くの機能喪失型バリアントは、疾患発症リスクを低下させ、薬効に影響する可能性がある。本論文では機能喪失型バリアントが、心血管疾患や糖尿病などのよくある慢性疾患のリスク因子レベルや発症を左右する遺伝子群に多く存在すると仮定した。この仮説を検証するため、8,554人分のエクソームを配列決定し、機能喪失型バリアントが及ぼす20の慢性疾患リスク因子の表現型に対する影響を解析した。このエクソーム配列データセットを二分して、発見解析と再現解析を行ったところ、すでに関連が報告されている遺伝子における2種類の関連(PCSK9APOC3)が確認され、 新たに8つの座位が同定された。これまで明らかになっておらず今回初めて判明した関連には、以下のようなものがある。TXNDC5のヘテロ接合性機能喪失型バリアントを持つ人において、空腹時血糖値の上昇が認められた。TXNDC5は、1型糖尿病進行のバイオマーカーをコードしている。また、C1QTNF8の機能喪失型バリアントにおいて、血清マグネシウムレベルに対する明らかな劣性効果が認められた。上記の結果から、詳細な表現型が知られている個人の大規模な配列データセットにおいて、遺伝子機能を左右するバリアントのアノテーションを行うことが、新たな遺伝子探索に有用であると証明された。

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