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肺繊維症:PARNおよびRTEL1の変異が家族性肺繊維症およびテロメア長短縮と結び付くことがエクソーム塩基配列決定により明らかになった

Nature Genetics 47, 5 doi: 10.1038/ng.3278

特発性肺繊維症(IPF)は加齢に伴う疾患で、進行性の肺の瘢痕化を特徴とする。 IPFの分子基盤を解明するため、家族性の肺繊維症患者が存在する複数の家系についてエクソーム配列解読を行った。ヨーロッパ系の患者78人と対照群2,816人の塩基配列を比較して解析したところ、疾患責任遺伝子としてPARNが同定された。PARNはエンドヌクレアーゼをコードしており、テロメアの生理活性やその異常による疾患との関連がこれまで知られていなかった。今回新たに、ヘテロ接合性の機能喪失変異5つが、異なる家系に属する患者から見つかった(P = 1.3 × 10−8)が、対照群には検出されなかった。これらの変異は、患者には共通に保持されていた(連鎖を肯定するオッズ比=4,096:1)。さらに、先天性角化異常症の責任座位であることが判明しているRTEL1の保存された領域に、新たな機能喪失型ミスセンス変異が見つかった。この変異は、患者において対照群よりも有意に多く存在していた(P = 1.6 × 10−6)。PARNおよびRTEL1に変異を有する患者においては白血球のテロメア長が短縮しており、その家系に短縮型テロメアのエピジェネティックな継承が認められた。今回の結果から、家族性肺繊維症のおよそ7%に対して発症リスクの説明がつき、肺繊維症とテロメアの機能異常との結び付きが強く示唆された。

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