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メラノーマ:トランスポゾンによる変異誘発によってBrafV600Eメラノーマの遺伝的ドライバーを同定

Nature Genetics 47, 5 doi: 10.1038/ng.3275

ヒトメラノーマのほぼ半分が発がん性BRAFV600E変異を持つが、メラニン形成をこれらの変異とともに駆動する遺伝的事象はいまだほとんど解明されていない。本論文では、トランスポゾンSleeping Beauty(SB)が仲介する変異誘発により、BrafV600E変異マウスにおいてメラノーマの進展が駆動されること、また、SBが駆動するメラノーマ70例から、変異が頻発する1,232個の候補がん遺伝子(CCG)が同定されたことを報告する。候補がん遺伝子はWnt、PI3K、MAPK、ネトリンのシグナル伝達経路の構成要素に豊富に存在し、偶然と予測されるよりも高い頻度で、互いにこれらのシグナル伝達経路と関係していることから、SBはメラノーマにおいて協調的に働く遺伝的ネットワークを標的としていると考えられる。500個を超える候補がん遺伝子のヒトオーソログには、ヒトメラノーマにおいて変異が豊富に見られ、また、そのRNAの豊富さと転移性メラノーマの患者の生存の間には統計的に有意な臨床的関連があることが示された。さらに機能的評価からCEP350がヒトメラノーマの新しい腫瘍抑制因子の遺伝子であることを確認した。従って、SBによる変異誘発は、BRAFV600Eメラノーマを駆動する協調的な分子機構の目録を作成したり、ヒトメラノーマにおいて臨床的に重要な可能性のある新しい遺伝子を発見したりするのに役立っている。

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