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グリオーマ:グレードIIおよびIIIのグリオーマにおける変異の全体像とクローンの構成

Nature Genetics 47, 5 doi: 10.1038/ng.3273

グレードIIおよびIIIのグリオーマ(神経膠腫)は一般に緩徐に進行する脳腫瘍で、その多くは最終的にはより悪性の腫瘍に進展する。その病態発生については、最近IDH1やその他の遺伝子で頻発する変異が見つかっているにもかかわらず、なお十分理解されてはいない。本研究では、大きな2つのハイスループット・シーケンスデータセットを併せて解析することにより、グリオーマの各タイプについて、高感度にドライバー遺伝子を同定し、本疾患で異常を来たす遺伝子および機能的経路の全体像を明らかにした。グレードIIおよびIIIのグリオーマは、それぞれに固有な遺伝子変異のセットと特徴的な臨床挙動を有する3つの明確なサブタイプに分類される。変異には有意に共存しやすい変異、また、共存しにくい変異の組み合わせが認められること、また、共存する変異の対立遺伝子頻度の相違から類推されるような経時的ヒエラルキーが認められることから、腫瘍細胞のクローン選択をもたらす変異の間には機能的な相互作用があることが示唆される。複数の経時的試料、また腫瘍内の異なる領域から採取された試料の解析の結果は、この所見をさらに支持するものであり、腫瘍の拡大や再発の過程で時間的および空間的に高度な非均質性が作り出されたことが示された。こうした非均質性は、複雑だが一貫した多くのクローン選択と進化の過程により形成されたものと考えられる。

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